素人っぽく振る舞うことで、住民側にある種の安心感を与えようとしたのかもしれませんが、住民の気持ちは当然いらだつばかりです。「こちらの要望を全く聞かない」とか「土地を購入したからといって、何を作ろうと自由だという考え方が気に入らない」、「マンションを建てれば、あとは売り逃げするだけだから、壊された環境をどうしてくれるんだ」と苦情は次々に出てきます。そこで、反対看板を掲げようということになります。
私は、個人的に反対看板は街並みが美しくなくなるので掲げたくなかったのですが、まわりの人たちの気持ちを抑えることはできません。そこで、まず、街並みを壊さない範囲で各戸にA3版の看板を配布し、玄関先や塀に掲げてもらいました。
100枚作成し、設置しましたが、やはり私たちの街並みは緑も多く、あまり目立ちませんでした。でも、どこを歩いても同じ看板が整然と並んでいるのは、どことなくまとまりのある地区だという印象があります。
そもそも反対看板の効果が出るのは、マンションの販売時です。購入者が工事中のマンションを見に来たときに掲げてある看板を見て、その会社の姿勢や周囲の状況、訴えている内容から購入したくなくなることがあるからです。
しかし、マンションの計画で反対がないことはまずありませんから、購入する人たちも逆に看板が上がっていれば、それだけ良い場所なんだと思って購入に意欲が湧く人もいるようです。
ということで、反対看板の効果はよくわかりませんが、行った印象としては、出さないよりは出した方がよかったと思います。看板を作りながら近所の人たちとのコミュニケーションが深まりますから。